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笑顔を作る筋肉

笑顔を作る筋肉

【美容&健康コラム】 2025.11.10 Vol,238
MI美容顧問:川戸清弥

 

突然ですが、皆さんは1日の中で何時間くらい人と会話していますか?環境や家族構成、仕事内容によっても会話時間は様々でしょう。

実は人と会話しているだけでお肌の老化対策になっている事をご存じですか?会話する時には必ず口の周りの筋肉を動かさなければなりません。そして対面で話す時には表情も動かしますよね。人は表情を作る際、常に顔の筋肉を使います。そう考えるとコミュニケーション回数が多ければ多いほど、顔の筋肉トレーニングをしている事になるのです。

今回の美容コラムでは、顔の皮膚の下に存在する筋肉(表情筋)についてお話ししたいと思います。

そもそも筋肉は、大きく3つに分類されます。

自分の意志では動かせない筋肉に『心筋(心臓の壁を構成する筋肉)』と『平滑筋(心臓以外の内臓や血管の壁を構成する筋肉)』があり、自分の意志で動かせる筋肉に『骨格筋(体のあらゆる動作に関わる筋肉)』があります。

骨格筋は体を動かし熱を生み出しています。表情を作る際に必要な表情筋は、この骨格筋の一種で解剖学的には約20種類前後が存在しています。骨格筋は「骨と骨」に付着し関節を動かしていますが、表情筋は「骨と皮膚」に直接付着しているため収縮することで皮膚が微妙に一緒に動き、笑顔・悲しみ・怒りなどの表情を作ります。

類人猿のゴリラやチンパンジーも人間に近い表情を見せることはできますが、魚類にはほぼ表情筋はなく、楽しいのか怒っているのかわかりません。
ちなみに犬などは眉間を動かすなど、人間ほどではありませんが表情筋が存在します。犬の先祖でもある狼には存在しないことから、犬は人間と長く暮らす間に人間との絆を深める為に表情筋を進化させたと考えられています。このことからも表情筋はコミュニケーションをとるためにとても大切な機能といえます。

普段の生活において手足の筋肉が衰えたと感じることはあっても、私たちは表情筋の衰えには気づかないものです。しかし表情筋も確実に衰えていきます。衰えたまま放置していると、どのような現象が現れるのでしょうか?加齢とともに衰える表情筋と衰えることで生じる影響を下記にまとめてみました。

 

◆口元の筋肉が衰えることで食べる機能に影響(咀嚼筋・口輪筋)

唾液の分泌にも影響のある噛む力が弱くなり、飲み込む力も低下する事で消化に負担がかかる。

 

◆口元の筋肉が衰えることで話す機能に影響(口輪筋・頬筋)

舌や顎の動きが制限され、唇をしっかり閉じられずに滑舌が悪くなり、パ行・マ行が不明瞭になる。

 

◆表情が乏しくなる

自然な笑顔や感情表現が難しくなり、不機嫌で暗い印象になることでコミュニケーションに支障が現れ、他人に誤解を与えることもある。

 

◆血行不良になる

血液やリンパの流れが悪くなり、ムクミやくすみ・肌荒れが起こりやすくなる。

 

◆老けて見える

表情筋が皮膚や脂肪を支えられずに下垂し、たるみやシワが現れ年齢以上に老けて見える原因になる。

 

◆目の周りの筋肉が衰えることで視界が狭くなる(眼輪筋)

まばたきが浅くなり、涙液が均等に広がらずに角膜が乾きやすくドライアイや視界のかすみにつながる。そして瞼を持ち上げる力が弱くなることで視界が狭くなる。

 

 

表情筋の衰えからくる影響はこれだけではありませんが、上記項目で思い当たる症状はありましたか?

既に口輪筋の低下により「ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ」の発音がしにくかったり、お口の中をくちゅくちゅする時唇をつぐむ力が弱く思わず水が飛び散ったり、周囲から「どこか体調でも悪いの?」と暗い表情に見え、気を遣かわせたり、自分では気づかないうちに表情筋が衰え始めているのかもしれません。日常の会話時間が少ない方は特に要注意ですよ。

肌のたるみやシワばかり気にしていても、その下に存在する表情筋がやせ細り低下していては、いくらマッサージを頑張っても思った以上の効果は望めません。

上記でも述べたように自分の意志で動かすことのできる表情筋は年齢問わず鍛えることができます。
次回美容コラムは、身近にある物を使った表情筋トレーニングをお伝えしたいと思います。クリスマスやお正月に久しぶりに会った知人から「彼女老けたわね」と思われるか「いつも若々しいわね」と言われるか。後者の方がいいですよね。素敵な笑顔でいるためにも気になっている方は、是非次回コラム掲載までにトレーニングの効果がわかるように、現時点のお顔の正面と左右横顔の写真を撮っておきましょう。一緒に表情筋トレーニングをスタートし表情豊かな若々しいお顔を取り戻しましょう。

執筆者プロフィール

川戸 清弥
川戸 清弥顧問
ドイツ留学にて、皮膚理論や毛髪理論、エステティックの技術などを学び美容外科・皮膚科で美容カウンセラーを経験。現在は多くの企業やエステサロンと契約して化粧品プロデューサー、ビューティーアドバイザーとして海外でも活躍中。

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