【美容&健康コラム】 2025.3.10 Vol,202
MI美容顧問:川戸清弥
2月の美容コラムで「ゾンビ細胞」についてお話ししましたが、興味をお持ちになった方も多いのではないでしょうか?「私の肌にもゾンビ細胞が存在するのかしら?」誰もが不安になりますよね。役目を果たした老化細胞がゾンビ細胞と変貌し周囲の健康な細胞に悪影響をあたえ、そのことが原因で様々な病気や老化症状となって自分の身体を衰弱させていくなんて本当に驚きです。
そこで今回のコラムでは、日々の生活の中で「ゾンビ細胞」を撃退する方法について、お話ししたいと思います。
そこで再度触れておきたいのが、「セノリティクス」についてです。
前回のコラムでも少しご説明したと思いますが、セノリティクス(senolytics)とは「senescence= 老化」と「lytics=溶解する」を組み合わせた造語で、「ゾンビ細胞」を標的とし自ら自滅させるか、破壊・除去する成分または薬などの事を言います。上記写真の植物もセノリティクス作用が認められた高山植物です。この様に植物からもセノリティクス作用のあるものが発見され、化粧品の有効成分として実用化できるようになって来ている今、アンチエイジング医療の分野でも急速に研究が進み、肌の老化予防や若返りにおいて益々期待が高まってきています。
私たちの身体は約37兆個の細胞からなり、1日に約1兆回の細胞分裂を行いながら私たちの身体は維持されています。中でも頻繁に細胞分裂を行っているのが胃や腸の上皮細胞で、わずか1日といったスピードで生まれ変わり、次に早いのが皆さんもよくご存じの皮膚の表皮で、数週間で生まれ変わります。表皮は基底層で細胞が生まれ古い細胞は垢となって肌の表面から剥がれ落ち、このサイクルを繰り返す事で水分を維持し健康な肌状態を保っています。このサイクルを正常に保つためには真皮層に発生する「ゾンビ細胞」を増やさない事が重要です。真皮の健康な細胞が「ゾンビ細胞」によって炎症し悪影響をうける事で、コラーゲンやエラスチン・ヒアルロン酸が正常に生産できなくなり基底膜にまで影響が及び、表皮への栄養供給が困難となり表皮自体を支えられなくなります。そうなれば基底層では正常に細胞分裂が行えず、肌の老化は一気に加速してしまうのです。40歳以上になると「ゾンビ細胞」が増加しやすいといったデータがありますが、かなり個人差がある事も確かです。それぞれの暮らしの中で、ちょっとした違いが「ゾンビ細胞」の増減の鍵を握っている事は確かです。
「ゾンビ細胞」を除去する一番の方法は、免疫細胞であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が一番重要だと言われています。NK細胞は直訳すると「生まれながらの殺し屋」で、攻撃力においては極めて強い免疫細胞の一つです。しかしそんなNK細胞も加齢とともに機能が低下してしまいます。その為に免疫細胞を活性化させる事が重要です。日々NK細胞が元気で活躍してくれるように下記の事に気を付け免疫力アップの為に対策して行きましょう。
「ゾンビ細胞」撃退の為の免疫力アップ方法
1)ストレス管理
ストレス0を目指すのではなく、定期的にストレス発散できる方法を身に付ける様にしましょう。「笑う」事で免疫力はアップします。
2)早寝早起き
特に夜更かしは避け最低でも6時間の睡眠を心掛けましょう。睡眠不足は免疫力低下の原因となります。
3)体温を下げない
シャワーよりも入浴時間を意識しましょう。浴用剤を利用しリラックスしながらゆっくりお湯につかるのも良いでしょう。
4)頑張り過ぎない有酸素運動
ウォーキング・ジョギング・水泳など、適度な有酸素運動を毎日の日課にしましょう。1時間未満の軽く汗をかく程度の有酸素運動を心掛けましょう。
5)腸内の善玉菌を増やす
NK細胞の約70%は腸に集まっています。毎日、発酵食品(乳酸菌)やオリゴ糖・食物繊維を摂取し腸内環境を整えましょう。
6)栄養バランス
バランスの取れた食事を心掛けると同時に、ビタミンA/C/E・βカロテン・セレン・亜鉛などは、NK細胞の機能をサポートする栄養素を意識して摂取するよう心掛けましょう。
7)避けるべきもの
喫煙・PM2.5・過度の飲酒・過度の紫外線は避ける様にしましょう。老化細胞を蓄積する原因となります。
今日あなたは「ゾンビ細胞撃退法」を知り自分の体の中にも存在するであろう「ゾンビ細胞」を退治する為に何から始めますか?誰もが一番難しいのは上記7項目の内「ストレス管理」かもしれません。それならまずは紫外線対策の準備から取り掛かってみるのも良いでしょう。無理せず頑張り過ぎずに出来る事から毎日の習慣にしていくことが大切です。いつまでも若々しい肌や身体を維持する為にも「ゾンビ細胞」は除去したいものです。