【美容&健康コラム】 2025.2.25 Vol,200
MI美容顧問:川戸清弥
ファッション雑誌や美容雑誌など、常に取り上げられるのが「アンチエイジング」特集ではないでしょうか。誰もが加齢による衰えを限りなく小さくできる方法があるなら知りたいと云ったニーズは昔も今も変わらない様です。美容コラムでも常々肌の抗老化をテーマにお話しする事は多いのですが、今回は私たちの大切な身体を加速度的に老化させてしまう最近注目の老化原因についてお話ししたいと思います。
先日、あるお店で食事をしていると、隣の席で4人の女性が同じように食事をされていました。賑やかなお店でその4人も大きな声で楽しそうに会話されており、聞き耳を立てているわけではないのですが、どうもその4人の関係は高校時代の同級生らしく、3ヵ月に1度集まって食事会をされている様でした。いわゆる女子会です。私はその4人が気になってしょうが有りませんでした。なぜなら3人は50代中くらいに見えるのですが、一人だけ40代前後にしか見えない女性がいるのです。年齢を確かめる事はできませんでしたが会話から4人は確かに同級生の様なのです。何が言いたいのかとお思いでしょう。同じ時間生きていても人は同じように老いては行かないと言う事です。私たちの身体の組織や臓器は数十億個の細胞から出来ています。そしてこの細胞には寿命があり細胞が機能低下し徐々に減ってゆくのが老化の要因です。しかし人によってその差は大きく、老いて行くスピードは違うと言う事なのです。
ではなぜ?同じ時間生きているにもかかわらず、速く老いる人と遅い人が居るのでしょうか?勿論様々な原因はあるでしょうが、近年この老化現象の根本的な原因の一つとして、ある細胞の存在に注目が集まっています。その細胞の名前は「ゾンビ細胞」!なかなかインパクトのある名前でしょう。このゾンビ細胞が体内に増える事で、骨粗鬆症・動脈硬化・認知症・神経精神障害・シミやシワ等さまざまな老化現象の原因となっている事が明らかになってきました。そして癌の発症についても深く関係している事が近年の研究で分かった事から「ゾンビ細胞」に注目が集まり、この細胞の破壊や除去についての研究が世界中で行われているようなのです。
ではここで「ゾンビ細胞」の正体ついて簡単に紹介しておきましょう。私達の身体を形成する細胞は常に分裂を繰り返しています。しかしこの細胞分裂には限界があり細胞は一定の細胞分裂回数を終えると自然死し最後は分解されて体外に排泄されるか、免疫細胞に食べられ体内から消えます。そして細胞分裂を繰り返す途中においても正常に機能しなくなった細胞は細胞死するようにプログラムされており、これは常に身体の組織を良い状態に保つためのプログラムでもあり安全装置の様なものが備わっているのです。しかしこのプログラムを無視するかのように、分裂もせず自然死する事も無く体内に居座り続けSASP因子(炎症を起こす物質)を放出し、周りの正常な細胞まで道連れにし老化を加速させてしまうのが「ゾンビ細胞」なのです。このことからイギリスの科学誌「ネイチャー」のコラムで、分裂もせず死にもしないホラー映画に出てくるゾンビのようだと、この老化細胞の事を「ゾンビ細胞」と表現したのが始まりの様です。
私達の身体に潜む「ゾンビ細胞」を選択的に除去する事ができたら、健康寿命は伸びいつまでも若々しく活動的に暮らせる様になるでしょう。そんな夢のような薬の研究は既に始まっており臨床試験の段階まで来ているようです。この分野の研究は医療・医薬の分野だけでなく化粧品原料においても研究が進められています。「ゾンビ細胞」が真皮に蓄積すると肌はハリを無くしシワやシミが現れます。こんな「ゾンビ細胞」にアプローチ出来る薬や成分の事をセノリティックスと呼び既にセノリティックス作用のある成分を配合した化粧品もまだ数は少ないですが既に発売されています。セノリティックス研究においては確実に実用化できるところまで来ていると言えるでしょう。次回のコラムでは「ゾンビ細胞」撃退の為のポイントを分かりやすくご紹介したいと思います。是非お楽しみに。