【美容&健康コラム】 2022.8.25Vol,80
MI美容顧問:川戸清弥
今回の美容コラムでは、皮膚の免疫細胞についてお話したいと思います。皮膚に関わらず人間が持つ免疫システムにはまだまだ解明されていない事も多い様ですが、身体の中には多種類の免疫細胞が存在し常に体内をパトロールし、異物を発見すると撃退・排除します。この免疫システムにより私たちの健康が保たれているのです。そして皮膚にも免疫細胞は存在します。常に外界と接触のある皮膚は、侵入して来る異物や刺激も多く非常にリスクの高い器官と言えるでしょう。そんな皮膚を守ってくれている優秀な免疫細胞の名前は「ランゲルハンス細胞」と言い、又の名を「樹状細胞」とも呼ばれています。
このランゲルハンス細胞は骨髄で生まれ血中を介し、真皮→表皮へと移動し1㎟に400~1000個が表皮の有棘層の上層から顆粒層辺りに陣を取ります。幾つもの樹状突起で、侵入者は居ないか?炎症している個所は無いか?肌の調子はどんな様子か?と常に監視しているのです。もしも皮膚内に侵入してくる異物を発見すると、遊走性の「ランゲルハンス細胞」は樹状突起を伸ばし異物を補足し、細胞内で分解処理し、樹状突起を縮めリンパ管を経由しT細胞に提示します。これによって一時免疫応答が開始されT細胞は異物の侵入部位へと戦闘を開始するのです。即ち「ランゲルハンス細胞」は皮膚の防衛隊なのです。
そして「ランゲルハンス細胞」のもう一つの大きな役割は、皮膚の新陳代謝が正常に行われているか?分泌作用により皮膚は弱酸性に保たれているか?等をチェックし異常を感知すると脳に情報を連絡しているとも言われています。約150年前にドイツのパウル・ランゲルハンス博士によって発見された「ランゲルハンス細胞」ですが、いまだに解明されていない事も多いようです。
そんな大切な任務を日々遂行している「ランゲルハンス細胞」も減ってしまう事があります。それは紫外線です。表皮の上層に存在する「ランゲルハンス細胞」は、紫外線の影響を受けやすくメラノサイトから放出されたメラニンも受け取る事が出来ず細胞膜が透明であることから紫外線によるダメージを負うリスクが高いのです。そうなると皮膚の防衛力が低下し肌老化を加速させてしまうと言われています。これが皆さんも耳にされた事が有る「光老化」の要因の1つなのです。
その様な要因を軽減する為にも、毎日のスキンケアで免疫力を向上させ、紫外線対策を怠らない様にしましょう。健やかな肌状態を維持する事が老化防止や改善の第一条件なのです。万が一異物が侵入しあちこちで炎症が起きている肌に対しては、アンチエイジングケアどころではないのです。
現在日本では3人に1人が花粉症状を経験したことがあると言ったデータがあります。そしてアレルギー性接触皮膚炎等、皮膚疾患に悩まれている方が数多くいらっしゃいます。この皮膚の免疫システムがコントロール出来るようになれば症状も緩和されストレスからも解消されるはずです。一日も早くこの分野での研究・開発が進み、安全で副作用もない治療を誰もが受けられる様になる事を心から願っております。