【美容&健康コラム】 2021.5.25 Vol,20
MI美容顧問:川戸清弥
今年は桜の開花が全国的に早かったようですが、梅雨入りも驚きのスピードでやってきました。
マスク生活は梅雨の時期、肌にとって非常に不快な時期となります。
湿度が高いこの時期はマスクの中は蒸れ蒸れで、肌のバリア機能が低下するとても危険な時期でもあります。常に湿った状態のマスクの中の肌は、デリケートになりがちで、そこにマスクが肌を摩擦し角質を削りバリア機能を低下してしまいます。
バリア機能が低下すると肌は敏感になり、普段なら何でもない物が刺激に感じはじめ肌荒れ・炎症・痒み・ただれなど慢性の皮膚疾患へと移行してしまう事もあります。
今回のコラムは肌のバリア機能を守り、健やかな肌でご家族全員が過ごしていただけるように是非ご参考になさって下さい。
まずは、バリア機能を守る為に大切な「ポイント3つ」を覚えておきましょう。
ポイント1.肌の摩擦を避ける。
ポイント2.肌を清潔に保つ。
ポイント3.肌を保湿する。
「なんだ!簡単じゃない。」と思われた方も多いでしょう。でもこの3つのポイントが難しくなる事があります。
それは、加齢・気候・生活習慣・間違ったスキンケア等です。梅雨時期はいつも以上に3つのポイントを意識してい頂きたいのです。
そこで「ポイント1~3」の解説とアドバイスを入れながらお話ししたいと思います。
ポイント1.「摩擦」ですが、肌は意外と丈夫に出来ています。
しかしその条件として3つの「あ」のバランスが大切となります。「3つのあ」とは、あせ(汗)・あぶら(皮脂)・あか(角質)のことです。あせ・あぶらに関しては、加齢とともに生産量が減り、そのせいで肌はいつも乾燥しカサカサで必要な角質を守れず、バリア機能を失ってしまう事があります。それに肌の代謝スピードが年々遅くなり、バリア機能に不可欠な角質層が薄くなりがちです。
その状態に梅雨と摩擦といった状況が重なると、肌は簡単に傷んでしまいます。特に肌が湿ったり濡れたりしている時の摩擦は要注意です。皆さんも経験があると思いますが、踵などの固い皮膚でも乾いたときに少々擦ってもあかは剥がれませんが、入浴中に厚くなった角質が水を含みふやけると、少し擦っただけでもあかが剥がれやすくなります。この状況が梅雨時期マスクの中の肌でおこっているのです。
アドバイスとしては、こんな時期だと帰宅後直ぐにさっぱりしたいと一生懸命に洗顔される方も多いでしょうが、クレンジングや洗顔剤はデリケート肌用の物を選び、手のひらで優しく洗うようにして下さい。
特に若い方で、皮脂が気になりタオルや洗顔ブラシをお使いの方は、毎日行わず、使用部位も小鼻だけにするなど、摩擦回数を減らす工夫を行って下さい。そしてもう一つ注意が必要なのは、洗顔後のタオルドライです。摩擦を避け必ず優しく押し拭きをしましょう。
ポイント2.「清潔」ですが、現代の日本では、さほど難しい事ではありません。毎日朝・晩は洗顔料で洗う事が習慣になっている人も多いはず。洗顔後の肌は清潔に保てており問題はありませんが、この状態が長時間続く訳ではありません。
肌には腸内細菌と同様に善玉菌と悪玉菌が存在しています。湿度が高いこの時期は菌にとっては繁殖する絶好の環境なのです。善玉菌だけが増えてくれれば良いのですが、マスクを付けた顔の表面は皮膚温と自分が吐く息で生暖かく高湿度状態です。毛穴に潜んでいる悪玉菌やマスクで肌荒れした部位には悪玉菌が多く潜んでいます。
こんな状態が続くと肌の菌バランスが崩れてしまい、肌荒れが広がったり悪化しやすくなります。だからといってマスクを頻繁に交換したり、外して換気するのはなかなか難しいでしょう。その為のアドバイスとして、先ずは肌表面の炎症を改善するとともに、抗菌作用がある物をマスク着用の前には塗っておく事をお勧めします。
そのことを毎日の習慣にし、尚且つ毛穴の汚れが気になる方は、定期的な毛穴クリーニングが必要でしょう。クレイパックや超音波美顔器などを使い毛穴の汚れを取り除く方法もありますし、皮脂分泌を抑える基礎化粧品をこの時期だけでもお使いになる事をお勧めします。
そして男性では、髭剃り後の肌は、小さな傷がついている事がありますから、男性も抗菌作用・抗炎症作用の物をマスク着用前や髭剃り後には必ず使うようにしましょう。
ポイント3.「保湿」ですが、梅雨時期は乾燥肌で悩まれる方も少ないと思いますが、気を付けていただきたいのが、除湿器や冷房の効いたお部屋です。
健康な肌を保つ条件として、必須なのが肌の水分量です。勿論バリア機能を維持するにも必ず必要です。肌は体の一番外側に存在することから、外気の影響を一番に受けやすく湿度が上下することが肌にはとても負担となります。
近年の異常気象により昨日まで加湿器を使っていたのに今日は除湿器が必要になるような今年の初夏などは、肌の水分バランスを補う汗腺の働きが季節についていけない為に肌の調子が悪くなる方もいらっしゃいます。肌は一定の水分量を常に維持することがとても大切なのです。
そこでアドバイスとしては、湿度計を常に意識してみて下さい。
特に長時間過ごす部屋や寝室など、以前もお話ししましたが湿度60%~75%を保つようにしましょう。そして、毎日の洗顔後には保湿維持力の高い商品で肌のスキンケアを行いましょう。
保湿してくれるスキンケア商品は数多く存在しますが、保湿維持力のある商品はそんなに多くありません。そういった事から私は、化粧品に配合されている保湿成分を常にチェックする様にしています。
年々素晴らしい原料が開発されていますが、ここ15年程は、保湿維持力の効果から「リピジュア」と言う保湿成分配合のスキンケア商品をお勧めしています。リピジュアは最近、コンタクトレンズにも使われている安全性の高い保湿成分です。特に乾燥しやすく皮膚の薄い目の周りや口元には梅雨時期でも部分使いすると良いでしょう。
ポイント1~3を意識する事で、(肌を傷つけず、肌菌バランスを整え、肌の水分量を保つ)肌のバリア機能は守られます。
是非、抗菌・抗炎症作用のあるスキンケア用品と保湿維持力のあるクリームをご準備下さい。
肌状態に応じて使い分け、この梅雨時期における肌トラブルが起きない様、しっかり肌のバリア機能を守る正しいスキンケアを行って下さい。