【美容&健康コラム】 2024.02.25 Vol,152
MI美容顧問:川戸清弥
早いもので数日もすれば3月です。暖かくなって来るのは嬉しいけれど…春は紫外線が気になりますよね。紫外線といえば肌の敵!老化を早める原因!と皆さんにお伝えしてきましたが、最近では紫外線の有効性についても色々な事が解明されつつあります。今回のコラムでは、紫外線のメリットとデメリットについてお話ししてみたいと思います。
1985年南極で発見されたオゾンホールのニュース以降、紫外線は身体に悪影響を及ぼす怖い物・悪い物といった情報ばかりが流れましたが、それから約40年が経ち紫外線による身体への悪影響とは別に健康に役立つ側面の研究も進んできました。紫外線の正体を正しく理解し適度な日光浴を楽しみ健康で美しい肌の維持に役立てたいものです。
紫外線を浴びる事での悪影響としては、炎症・水膨れ・シミ・シワ等肌に対する影響のほか白内障や皮膚ガンなど細胞を傷つけたり炎症させたりと、一見紫外線は悪者といったイメージが強いですが、私たちが健康に生きてゆく上で紫外線はとても重要な働きもしています。それは、ビタミンDの生成です。ビタミンDは皮膚にUV-Bを浴びる事により皮膚内で作られます。皮膚内で生成される約80%は表皮層と基底層で作られ、残りの約20%は真皮層で作られています。しかし皮膚内でのビタミンD生成量は年齢とともにどんどん減少し作れなくなってきます。特に表皮層・基底層で作られる量は年齢によって生成量に違いがある事が分かっています。しかし真皮層で作られる量には年齢問わずほとんど変化が無いらしく、その点では少し安心ですが20%では足りません。
ビタミンDが足りなくなると骨軟化症・骨粗鬆症・筋肉痛・筋力低下・免疫力の低下・自閉症等の症状が現れます。肌に対してもビタミンDは細胞分裂をサポートしています。その為ビタミンD不足になると新陳代謝(ターンオーバー)が乱れ、皮膚のバリアとなる抗菌ペプチド(天然の防御成分)が作れなくなり肌荒れなどの症状が現れやすくなります。最近ではビタミンD不足が皮膚炎の悪化につながるメカニズムも解明させました。そして口内炎など皮膚関連の疾患原因にビタミンD不足が大きく関わっている事が解っています。ビタミンDは私たちの身体を健康に維持する為にとても大きな役割を果たしているのです。普段から適度な日光浴とビタミンDを多く含む食事を心掛けましょう。紫外線量の少ない冬には、健康補助食品を併用しながら不足しない様に意識したいものです。
ではビタミンD生成に必要な適度な日光浴とはどれくらいなのでしょうか?環境省が出しているデータによるとUV-Bがピークになる7月の東京正午だと、顔と腕と脚に紫外線を2分間浴びるだけで良いそうです。(*その日の紫外線量・皮膚の色等の条件によって時間差があります)蒸し暑い7月なら腕や足を露出する服装で過ごせますから無理なく日光浴できそうです。しかし顔や首・手の甲等年齢が現れやすい部位には紫外線カット剤を使いしっかりガードするようにしましょう。紫外線はビタミンDを作る為にはとても大切なものですが、シミやシワの原因である事も事実です。正しく紫外線を理解し美容と健康の為にも、日光浴時間や紫外線カット剤の使用部位等を上手に使い分ける事が大切です。