【美容&健康コラム】 2025.4.10 Vol,206
MI美容顧問:川戸清弥
この季節は、肌の不調を感じる方は多いのではないでしょうか?小さなプツプツや赤み・潤いが無く肌はざらざらしメイクのりも悪く、肌が荒れで普段使っている化粧品がピリピリ染みたりしている方もいらっしゃるでしょう。「毎年この時期は仕方ない…」「私は乾燥肌だから…」と諦めている貴女、そんな時皮膚の内では何が起きているかご存じですか?よく耳にするのは「バリア機能の低下」ですよね。ではバリア機能とは何でしょうか?今回の美容コラムでは肌がどの様にバリア機能を担っているのか、お話ししたいと思います。
では早速ですがバリア機能とは何でしょう?「バリア」というぐらいですから外部からの侵入を防ぐ防壁の意味ですが、皆さんの想像以上に皮膚はいくつもの防壁策を持っている優秀な器官なのです。美しい健やかな肌を保つために必要な3つの「あ」について以前お話しした事がありますが、3つの「あ」とは「あせ」・「あぶら」・「あか」の事です。この3つの要素が皮膚のバリア機能の構成には重要な要素なのです。この3つの「あ」がどのような役割をしているかご説明してきましょう。
1.皮脂膜(脂と汗)
皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗が混じり合った天然の保護膜により滑らかな肌が保たれる
2.ケラチンとNMF(ナチュラルモイスチャーファクター)
角層細胞(ケラチン)に存在するアミノ酸類や乳酸などの水溶性の天然保湿因子で肌表面は弱酸性に保たれる
3.細胞間脂質
角層細胞の隙間を埋めるように存在するセラミドやコレステロール・脂肪酸などの油溶性の成分で潤いを保っている
上記1が3つの「あ」の2つである「あせ」と「あぶら」の事であり2と3がもう一つの「あ」の「あか」を指す要素の事です。皮膚のバリア機能は上記3つのバランスを保ちながら、皮膚内の水分が蒸発するのを防ぐ作用と外界からの異物が皮膚に侵入するのを防ぐ役割があります。この防衛機能によって健やかな肌は維持できているのです。
そこで今回は上記3の細胞間脂質についてもう少し詳しくお話ししておきましょう。3つの「あ」の一つである「あか」が大きな役割を果たせている理由に、この細胞間脂質の存在があります。此処でいう「あか」とは皮膚から剥がれ落ちる前の死んだ細胞が重なった、わずか0.01㎜の薄い角質層を指します。細胞間脂質はこの角層細胞の隙間を埋めている脂質で、角質層がレンガ塀だとすると角層細胞がレンガで細胞間脂質はセメントの役割を果たしています。皮膚のターンオーバー周期にある角質層に14日間も死んだ細胞が張り付いていられるのもこの細胞間脂質があるからです。この細胞間脂質は主にセラミドと呼ばれる脂質が50%を占めており、セラミドは有棘層上層から顆粒層で合成され角質層へと移動し、皮膚内の水分が外に出るのを防ぎ有害な異物が皮膚の中に侵入するのを防ぐバリアの役割を果たしています。そのためセラミドが不足し始めると角層細胞が剥がれ落ち皮膚はたちまち乾燥しバリア機能を失いトラブルを感じる様になります。
今年の春のように25℃を超える汗ばむ日もあれば、ダウンジャケットが手放せない日など寒暖差が大きいと、汗腺や皮脂腺は分泌機能が上手くいかず徐々に皮脂膜が足りなくなり、3つの「あ」のバランスが崩れ始めバリア機能自体が脆くなります。そこに強い紫外線が降り注ぎ花粉やホコリ・黄砂が舞い散り、外界と接している皮膚にとっては過酷な季節といえるでしょう。バリア機能は一旦低下すると、原因や肌年齢にもよりますが、回復するのに数週間から数ヶ月もかかってしまいます。そこで下記の【バリア機能チェック】を行いバリア機能が低下していないか確認しましょう。
【肌のバリア機能チェック】
1.洗顔後すぐに化粧水やクリームを付けないと肌がつっぱる
2.化粧水が染みる個所がある
3.肌に粉を吹いた状態の個所がある
4.急にチリメンジワが増えたように感じる
5.化粧水の浸透が悪いと感じる
6.肌がごわつく(肌表面が硬く感じる)
7.肌に痒みがある
上記1~7の項目に1つでも該当する方は、バリア機能が低下しています。まずは過剰な洗顔やスキンケア時の摩擦に注意しましょう。そして今の肌状態に合った化粧品を選ぶことが大切です。バリア機能が低下していると感じ方は、すぐに洗顔料をデリケートスキン用に変える事をお勧めします。わずか0.01㎜の超薄い壁が私たちの健やかな肌を維持し守っている事を忘れず、丁寧にスキンケアを行う様にしましょう。